健全な中古住宅育成という課題は、長く我が国において取り組まれている課題です。インスペクションの利用を啓蒙するための不動産業法改正など、緩やかながら進んでいるとは言え、税法等、これを後押しするためにはまだまだ様々な改革が必要であり時間を要するように感じられます。
　建築された建物は、日常的な管理と定期的な修繕を経ることにより、長期にわたって良好な状態を維持することができます。そしてこれらを実現するためには現状把握に基づいた適切な管理、長期・大規模修繕計画を必要とし、資金計画の作成が必要です。そして融資等を含む金融スキームの存在がこれを下支えしています。さらに所有者、使用者が異なる建物や複数の区分所有者によって構成されるマンションにおいては、管理組合等の健全なコミュニティの存在や、利害調整・日常的な管理業務を行う管理会社によるサポートが重要な要素となります。
　このように一つの建物を資産として維持、保全し長期にわたって使用を可能にするためには、施工会社（ゼネコン）、販売会社（デベロッパー・ビルダー）、所有者（一般個人、事業会社、ファンド）、使用者（専有者等）、管理会社、金融機関といった数多くの利害関係者の「信頼関係」のもとに成り立つものです。健全な中古住宅育成のためには、この「信頼関係」なくしては実現し得ないものであると、私たちは考えます。美しい街並み保全といった問題はこの「信頼」をなくして実現し得ないものであり、これこそが良質な不動産市場を育成するための最大の解決策であると、私たちは考えます。
　私たちが提供する建物検査・調査・診断（インスペクション）は、最終的な一般消費者を保護し健全な建物の普及を促進することに大きな存在意義を持っていると考えますが、決して施工会社や販売会社を糾弾する「武器」ではありません。全ての利害関係者が「信頼関係」を構築・再構築するための「潤滑油」でありたいと私たちは考えています。私たちは新築施工現場を知り尽くした一級建築士、一級施工管理技士を初めとして、数多くの瑕疵物件を調査してきたインスペクター、お客様の課題解決のサポートを数多く経験してきたコンサルタント等、様々な専門性をもったスタッフの集合体であり単なる調査にとどまらず、建物・不動産に関する様々なお客様の課題解決に向け、全ての知力を提供してまいります。